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クルミットです♪
2006年放送のパイロット版で、ルイスがオックスフォードに戻り、ハサウェイと初めて組む回です。睡眠研究所での射殺事件が、自動車会社を営む一族の確執と、数学の証明をめぐる事件へ広がっていきます。
それでは1話を一緒に見ていきましょう!
※ここからは結末までのネタバレを含みます。
ルイス警部 第1話 シーズン1第1話「数学殺人事件」のあらすじ
妻を亡くしたルイスが、英領ヴァージン諸島での2年間の派遣を終えてオックスフォードに戻る。空港へ迎えに来たのはハサウェイだった。新しい上司のイノセントは引退を勧めるほど冷ややかだが、担当の警部が手を空けるまでの代理として、前夜の殺人事件をルイスに任せる。
被害者はオックスフォードの女子大生リーガン。睡眠研究所の個室で被験者として眠っていたところを銃で撃たれた。通用口の記録には、同じ研究に参加する学生ダニーの暗証番号が残っており、フード付きの上着を着た人物が監視カメラに映っていた。
ダニーは自動車会社を営む一族の跡取りで、レーサーだった父を事故で亡くしている。父の形見の拳銃は部屋から消えていたが、指導教官の数学教授が、犯行時刻にダニーは教授宅で一緒にいたと証言する。前歴を洗うと、15歳で叔父の車のブレーキに細工した件をモースが扱っており、記録には謎めいたメモが残っていた。
ダニーは父の死を叔父の仕業と信じ、叔父と母の仲も疑っていた。叔父はリーガンと一夜を共にし、口止めしていたことを認める。釈放されたダニーは、叔父とリーガンの関係を知って母に詰め寄る。
亡き父、跡を継いだ叔父、母、復讐に燃える息子。ハサウェイも指摘する通り『ハムレット』そのままの構図で、ダニーが主人公に見えるように組まれています。
翌朝、ダニーが川のボートで死んでいるのが見つかる。自殺に見えたが、ハサウェイはオールの付け方が逆で、本人が好んだ型でもないと気づく。ホブソンの所見もあり、別の場所で殺されて運ばれた疑いが強まる。
一方、前夜にダニーの母は銃声で目を覚まし、浴室で撃たれた人物と走り去るフード姿を見ていたが、警察には黙っていた。教授宅の時計が45分近く進んでいたことでダニーのアリバイは崩れ、イノセントはダニーの犯行として幕を引こうとする。
やがて盗まれた車のトランクから、会社の財務担当役員の遺体が見つかる。リーガン、ダニー、役員の3人はいずれも同じ銃で撃たれていた。
突破口はモースのメモだった。ハサウェイが「王」は叔父の名を指すと気づき、研究所の所長が口にした『ハムレット』の台詞から、ルイスは「ポロ」が王の側近ポローニアスの略だと読み解く。母の恋人は叔父ではなく、側近にあたる役員だったのだ。
駅の駐車場に役員の車を置いて去る叔父が映像に残っていた。叔父は、母から電話でダニーが役員を撃ったと聞かされ、遺体を始末したと認める。母はさらに、役員こそダニーの実の父で、夫はそれを口論で知らされた直後に事故死したと明かす。役員の娘はダニーの遺体が見つかった場所で入水を図り、救助された。
5年前のメモ一行が母の本当の恋人を言い当てていたわけで、シリーズの幕開けにモースの存在を置く仕掛けとして粋でした。
最後の鍵は数字だった。ダニーの友人が、暗証番号は完全数28の約数の並びだと指摘し、28の次の次の完全数8128でダニーのパソコンが開く。中にはリーガンが送った証明が残っていた。ルイスは、研究所の所長に入っていた留守電も、短縮ダイヤルで隣り合う教授あてだったと推理する。
犯人は指導教官の教授だった。リーガンの証明は、彼が名声を得た論文の重大な欠陥を示していた。教授は彼女を撃ち、同じ証明を受け取ったダニーも殺害する。叔父を殺してダニーの無理心中に見せかけるつもりだったが、浴室にいたのは役員だった。逮捕を告げられた教授は、病気の妻と自分に毒を盛っていたと明かす。
ルイス警部 第1話 シーズン1第1話「数学殺人事件」の感想まとめ
パイロットらしく、ルイスの帰郷から新しい相棒との距離の測り合いまでを一話に詰め込んだ回でした。神学を学んで聖職を目指していたハサウェイと、妻の死で信仰を手放したルイス。会話はかみ合わないのに、オールの向きに気づくのはハサウェイ、モースのメモを手放さないのはルイスと、それぞれの持ち場で事件が動くのが好ましかったです。
犯人探しとしては、『ハムレット』の構図に乗せて叔父を疑わせ、復讐者に見えたダニーを途中で退場させる組み立てが巧みです。叔父の口止めの理由が殺人の動機ではなく、もっと情けない秘密だったという外し方も効いていて、怪しい人物が次々に別の顔を見せていきます。
決め手が完全数の暗証番号と短縮ダイヤルの並びというのは、この邦題にふさわしい理詰めでした。教授の動機が名声を守ることに尽きるのは冷たく感じましたが、学生の証明ひとつで18年分の評価が崩れかねない怖さは伝わってきます。
後味はかなり重いです。母の告白でダニーの思い込みも、役員の娘の想いも根元から崩れ、結末では教授が妻にまで毒を盛っていた。事件は解けてもすっきりはしません。それでも、イノセントに冷遇されていたルイスが、この一件で刑事としての足場を取り戻していく流れは、この回の芯になっていると思います。
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