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クルミットです♪
今回の舞台は、嵐で孤立した屋敷。合理主義者を自任するワイズマン教授が、霊を呼ぶとされる笛の競売を開いたことから一夜の惨劇が始まる。教授が仕込んだ偽の怪奇現象と本物の殺人が入り混じる、閉ざされた館ものの一編だ。
それでは73話を一緒に見ていきましょう!
※ここからは結末までのネタバレを含みます。
ブラウン神父 第73話 シーズン7第3話のあらすじ
ブラウン神父の友人ワイズマン教授は、合理主義を誇りにする人物だ。教授には夫を亡くして二人の子を一人で育てる娘がいて、教授はこの娘と孫たちの暮らしを何より気にかけていた。
夕方、マッカーシー夫人とバンティを連れてピクニックへ向かう途中、神父は教授の家に立ち寄る。そこで異変に気づいた神父は、一人で屋敷へ引き返して入り込む。教授は、オカルトを題材にしたパーティーを開くのだと説明した。
やがて客がそろう。陸軍のウィンスロップ少佐、霊媒師のドロシーと息子のアーチー、美術品コレクターのリリスだ。リリスは、昔ドロシーに母を助けてもらったと挨拶する。ドロシーは亡き夫の霊がそばにいると語っていた。
一方、マッカーシー夫人とバンティは、雷雨でずぶ濡れになったピクニックから戻っていた。家に神父の姿はない。帰り道ですれ違わなかったことから、二人は神父がまだ教授の家にいるのだろうと考える。
教授が披露したのは、中世の墓所で見つけたという霊を呼ぶ笛だった。古い文献を根拠に本物だと言い張り、皆の前で吹いてみせる。笛が鳴ると、ドロシーは夫の気配が消えたと動揺した。屋敷のあちこちで不気味な声が響き、リリスは首筋に荒い息を感じたと訴える。
笛が鳴った途端にドロシーが夫の気配を失う流れが、今回いちばん残酷な部分だと思います。真相を知ってから振り返ると、リリスはこの時点ですでにドロシーへの殺意を固めていたんですよね。
神父はこれらの怪奇現象を教授の仕掛けだと見抜く。問い詰められた教授は、投資の失敗で財産を失い、家も差し押さえ寸前だと明かした。娘と孫のために金が要るのだという。二人が言い争っていると笛の音が響き、保管していた箱から笛が消えていた。
音のする上階へ走った教授は、まもなく階段で頭から血を流して死んでいるのが見つかる。嵐のせいで電話はつながりにくい。神父は客の中に犯人がいると告げ、六つのタイマーで時間差に鳴る録音や、映写機と鏡で作った幽霊の正体を明かしていく。
途中でドロシーの姿が見えなくなるが、彼女は無事に見つかる。ドロシーは、教授が霊をあざけったせいで霊が怒ったのかもしれないと言い、夜明けまでに全員がやられると恐怖をあおった。
一方、家にいるマッカーシー夫人とバンティは悪夢の話をし、そのうち一人は神父が危険にさらされる夢だったと語る。一人が神父の無事を気にかけると、もう一人は、きっとまだ友人の家にいて安全だとなだめた。
ドロシーは神父に、夫のことを打ち明ける。夫は身重の彼女を病院へ車で運ぶ途中で命を落とした。彼女が出産しているあいだ、夫は隣の部屋で息を引き取ろうとしていた。それから三十年間、毎日夫の声を聞いてきたのだという。
この話から鏡に思い当たった神父は、狙われたのは教授ではなかったと気づく。それを伝えようとした矢先に停電が起き、明かりが戻ったときにはドロシーが殺されていた。
ドロシー自身の身の上話が、そのまま神父の推理の糸口になる運びがうまいです。目の錯覚という話題から、屋敷中に置かれた本物の鏡へつながっていくところで、教授の仕掛けの意味が一気にひっくり返りました。
取り乱したアーチーのポケットから、消えた笛が見つかる。母との関係がいびつだったこともあり、残った客はアーチーを疑った。教授の死は人違いだった。犯人は階段の鏡にドロシーが映ったと思ったが、それは別の部屋を向いた鏡の像で、実際に階段に現れたのは教授だったのだ。
神父はアーチー犯人説に乗らなかった。笛を持っていると分かっている者が、自分から持ち物を調べろと迫るはずがない。犯人は夫の霊という唯一の支えを奪い、ドロシーを苦しめたかったのだと神父は考える。決め手はリリスの袖についた口紅の跡だった。
リリスは暗闇に乗じて笛を吹き、ついた口紅を袖でぬぐった。笛は、母を失ったアーチーを慰めるふりをしてポケットに入れた。警察を待たずに帰ろうとしたリリスは、引き留めた少佐を花瓶で殴り倒し、神父を小部屋に閉じ込める。
リリスはガスを漏らし、火をつける支度を始める。母の話を向けられると、彼女は動機を語った。十歳のとき三歳の妹が行方不明になり、母はドロシーを頼った。ドロシーは妹は死んだと告げ、母はその後何年も毎日、死んだ娘と話すために通い詰めた。
母は生きている家族に関心を失い、父は家を出た。ところが七年後、妹は子のない夫婦に連れ去られて育てられていたと分かる。ドロシーは過ちを認めず、妹を装った悪霊にだまされたと言い逃れた。今夜再会したとき、リリスは殺すと決めたのだという。
妹は生きていたのに、家族の時間だけが死者との交信に吸い取られていった。リリスの話でいちばん重いのは、自分たちの方が幽霊のように扱われたという感覚でした。
神父は、ドロシーは本気で力を信じていたのであって詐欺師ではないと返す。死後の世界を信じないままオカルトで稼ぐリリスこそ、自分が軽蔑してきたペテン師であり、そのうえ殺人者だと指摘した。
やがてリリスはガスで倒れて鍵を落とす。神父は傘の骨で扉の下から鍵を引き寄せて脱出し、ガスを止めて屋敷の外へ逃れた。
警察が到着し、後の処理は引き継がれる。現場から笛は見つからなかったが、神父がこっそり持ち出しており、のちに壊して川へ捨てた。後日も、嵐の夜から神父の様子がおかしいと周囲は気にかけていた。
ブラウン神父 第73話 シーズン7第3話の感想まとめ
今回いちばん効いていたのは、教授が客をだますために置いた鏡が、そのまま教授の死を招いたところです。合理主義を掲げる人が偽の心霊現象で金を得ようとし、その小道具で人違いが起きる。皮肉の利いた組み立てでした。
謎解きでは、笛を持っている人間がわざわざ持ち物検査を求めるはずがない、という一点でアーチー犯人説を崩すのが気持ちよかったです。そこに袖の口紅を重ねると、暗闇で笛を吹いたのが誰かが分かり、アーチーを慰めるふりで笛を仕込んだ時機にも説明がつく。手掛かりは少ないのに筋がきれいに通っていました。
リリスの動機には同情できる部分もあります。妹の生死を誤って告げられたせいで家族がばらばらになったわけですから。それでも、信じてもいないお守りを売って暮らしていた彼女に、自分が軽蔑してきたペテン師そのものになったと突きつける神父の言葉はかなり痛烈でした。
神父がドロシーを詐欺師ではなく思い込みの強い人として扱った線引きも印象に残ります。教授の嘘、リリスの嘘、ドロシーの信念が並ぶことで、誰がどんな理由で人をだましていたのかがはっきり分かる回でした。最後に笛を自分の手で壊す選択も、この夜の始末のつけ方として納得がいきます。
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